簡易保険とは日本郵政公社が運営する生命保険のことで、よく「簡保」と略されて呼ばれます。その歴史は意外に古く1916年逓信省(後の郵政省)によって創業されました。簡易保険の大きな特徴は加入時の制限が少ないこと「倍額保証」「非常取り扱い」があることです。
加入の際には最寄の郵便局で加入でき医師の診断や被保険者の職業上の制約がありません。もちろん医師の審査がないのですが自己申告制になりますので、虚偽の報告をすると保険金が支払われない場合もあります。また仕事上のリスクを考えないので(通常の傷害保険などでは職業により保険料がかわり、契約を結ばない職業もあります)、どのような仕事をしていてもどなたでも公平に加入できます。ただし、民間の生命保険に比べ一人当たりの保険金に限度があり、あまり高額な内容では契約できません。
「倍額保証」
倍額保障とは、不慮の事故や災害あるいは特定感染症によって死亡した場合、死亡保険金に上乗せされて支払われる制度です。この倍額保証は自動的に付帯されます。支払われる金額は、基本保険金額で終身又は養老保険部分の金額と同額となります。
「非常取り扱い」
非常取り扱いとは被保険者が何らかの災害にあった時、すばやく柔軟な対応ができるように作られました。具体的には罹災により印章がなくても拇印で取扱が可能なこと、罹災により保険証書等がなくても一定の範囲内で金額を貸し出したり、前納払込みの保険料を取消すことで保険料の返還を求めることができます、さらには死亡保険金の即時払いができます。最近では中越地震や福岡県西方沖地震災害のときに執り行われました。また2005年に起きた福知山線列車脱線事故のときには死亡診断書、倍額調書等無しに、新聞記事で家族が亡くなったことが確認できれば、即座に死亡保険金と倍額保険金が支払われました。
簡保のサービスと今後
簡易保険の加入者は簡易保険加入者福祉施設と呼ばれる施設を優先的に使うことができるサービスが受けられます。施設は全国各地に設置されていて、保養施設(保養センター)、老人福祉施設(加入者ホーム)、診療施設(総合健診センター・総合健康増進センター)などがあります。(統廃合が進んでいますので各施設についてはご確認ください)
2007年(平成19年)10月1日には、設立ずみの準備会社(株式会社かんぽ)を改組する形で株式会社かんぽ生命保険が設立され、業務が移管されますが、現在加入中の保険に関しては契約が消滅するまで保険金の支払いに関しては政府保証が継続します。また、保険証書などもそのまま使うことができるそうです。契約変更などはできなくなり、新規の申し込みも契約できなくなりますが、株式会社かんぽでも同様の商品が発売されると推測されます。
共済とは、職業や居住地などある共通点を持った人々が資金を出しあい、事故などの際に出しあった資金の中から保障を行う事業のことを言います。共済にはさまざまな種類があり、一概には言えないと思いますが、共済の特徴として掛け金が安い点が挙げられます。基本的な設定は最低限の保障をえる目的で保険料を抑え、ほんとうに必要な方々が入りやすいようになっています。その分高額な保障を求める事は難しいです。
共済の多くの保険は一年更新型の掛け捨てタイプがほとんどですが、性別や年齢に関係なく保険料が一律なものが多く、営業にかける人件費や宣伝費はかなり低く抑えられています。また、余剰金はその年度末に還元される制度を取り入れている共済もあります。
共済は協同組合等が保障事業を行っている場合が多く組合員しか加入できないというイメージがありますが非組合員でも加入できる共済も数多くあります。利益を追求しないことで保険料を安くおさえた共済は、魅力のある生命保険の一種として挙げることができるのではないでしょうか。
ただし、共済に関し現在の日本では問題が提起されているのも事実です。共済は利益を追求しないで加入者全員で助け合うことを目的としていますので、保険の基本理念である相互扶助の精神にもっとも近いと感じる方は多数いらっしゃるのではないでしょう。
しかしながら、2006年に改正された保険業法では、根拠法のない自主共済が規制の対象となりました。その為自主共済の団体でも資本金や管理体制などの法規制をうけて共済事業の維持ができない団体が多数でました。もともとこの法律の目的は共済という仕組みを悪用し詐欺に近い形の共済やマルチ商法を強く規制するために考案されました。もちろんそれらの悪意ある共済やマルチ商法などには強い規制が必要なのは言うまでもありません。しかし本来の目的である相互扶助の精神のもとに健全に運営している自主共済までも法の規制の対象になってしまったのです。一応は保険業法の適用外を定めていますが、その範囲も十分であるとは言えないのが現状です。
改正保険業法では、一定の事業規模の範囲内で少額短期の保険のみの引受けを行う事業者については、登録制の「少額短期保険業」が設立され相互会社か株式会社でなくては保険業をおこなうことは出来ません。
従来多かったNPO法人がそのままNPO法人格のまま新たに「保険業」を行うには平成20年までに「必要な要件」を満たす必要があります。この必要な要件の中で、満たすことが難しいもののなかにアクチュアリーの監査制度の導入が挙げられます。アクチュアリーとは保険料を算定する保険の専門家のことで、国内には1000人程度しかいないと言われています。このアクチュアリーの監査は外部委託となる場合がほとんどですが、委託料は高額で団体にとって大きな負担となってしまいます。またNPO法と保険業法が相反する一面(NPO法ではその他事業の収益は本来の事業で使うもととされているのに対し保険業法では共済事業の収益を他の事業に使用することは禁じられている)もあり、NPO法人として共済事業を継続するのは困難になってしまいます。現在おおくの自主共済の団体で保険業法の改定を求めた運動がおこなわれています。
共済の中には独自の根拠法のもと運営している共済と、根拠法がない自主共済があります。ここでは比較的規模の大きい共済について見ていきたいと思います。また、支払い日数や支払い条件などは異なる場合がありますので、正確な情報につきましては各共済に問い合わせてください。
都道府県民共済
1973年に埼玉県で始まり、現在38都道府県でおこなわれています。全国生活協同組合連合会が元受で、銀行を窓口に加入できます。生命共済のほかに火災共済があります。支払額は高額ではないのですがその分保険料も格安で、保険金の支払いがはやく交渉でもめることが少ないと言われています。
また割り戻しの率が高い事も挙げられます。2005年度には全国平均で掛け金の約30パーセントが年度末に返還されました。表準形は月々の保険料は2000円ですが、割り戻しを考えると月々の保険料は実質1400円程度となりました。保障内容は標準形で死亡給付金は交通事故の場合1200万円、病気の場合は300万円(ただし、給付金は都道府県により違いがあります)となります。また交通事故や病気で入院した場合や通院した場合にも給付金が受け取れます。
CO?OP共済
日本生活協同組合連合会(コープ)が元受です。取り扱っている生協の店舗で申し込むことができます。月々の保険料が1000円のものや10年更新型のタイプの商品もあります。特徴としては女性向けや子ども向け商品の保障がしっかりしている点です。
女性コースでは、月々の掛け金が2000円のコースのでは女性に特有の病気で入院した場合、1日8000円が給付されます。
18歳未満の子どものケガにそなえる商品では、月々の保険料が1000円でケガによる入院時は日額6000円、ケガによる通院も1日目から2000円給付されます。
JA共済
全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)が元受です。
対象は、農協の「正組合員」である農業従事者ですが、出資金を出せば「准組合員」としてサラリーマンなどでも利用でき、出資金は組合員をやめるときに返還されます。金額は各JAで異なります。
商品は多種多様で医療共済や養老生命共済、終身共済などの人に対する共済のほかに、家を共済の対象とした建物更正共済、損害保険会社が取り扱っている自動車保険とほぼ同内容の自動車共済などもあります。
団体保険とは、会社や官公庁等の団体に所属する者全体を保障する生命保険のことをいい、団体の構成員の福利厚生対策に取り入れられています。契約は団体と生命保険会社が直接契約を結ぶため、個人個人で加入するよりコストが削減でき保険料は割安となります。
○総合福祉団体定期保険
総合福祉団体定期保険とは従業員の死亡または高度障害に対し、保険金を支払う一年更新型の定期保険です。企業が弔慰金等の財源として加入することが多く、基本的に従業員全員が加入し、保険料は企業が負担します。
また従業員が任意で加入できる団体定期保険もあります。任意加入となりますので、保険料は本人が支払うことになりますが、一個人で加入するより保険料は安くなります。企業の福利厚生として行われていることが多いそうです
○企業年金
企業が従業員の退職後の為に終身もしくは一定期間の年金の支給をするために、積み立てる保険の事を企業年金保険といいます。企業の主な利用方法としては退職金を支給するための財源を計画的に確保するために活用することがあげられます。保険料は企業側が全部負担するものや一部を個人で負担するものなどがあります。
また従来の確定給付企業年金(企業年金保険から給付される金額があらかじめきまっているもの)から確定拠出年金(企業が掛け金を負担するが、従業員が運用先を決められるもの)を導入する企業も増えているそうです。
○団体信用生命保険
住宅ローンの融資を受け、返済途中に契約者が死亡あるいは高度障害状態になった場合、保険金でローンが全額返済される保険です。保険金支払い方法は、一時払いやローンに組み込む形で支払うものなどがあります。
<消費者信用団体生命保険の問題>
2006年大手消費者金融企業各社が、会社を受取人として債務者に対し生命保険を掛けていた問題が取り上げられました。これは債務者死亡による貸し倒れリスクの回避、債務を相続した遺族の負担の軽減などの名目で取り入れられていました。しかし、一部の消費者金融企業で借りた金額以上の保険金を得ていた例もありました。2005年度でこの消費者信用団体生命保険で保険金を受け取ったケースは約4万あり、死亡原因の半数の2万件が不明、その1割が自殺であったことが判明しました。一方保険会社では契約より2年以上経過しての保険金支払いに際しては死因等を充分に調査せず、安易に死亡保険金支払いに応じていたことも判明しているそうです。
こうした批判を受け、金融庁は2006年9月15日、保険会社及び生命保険協会に対して、消費者信用団体生命保険の加入の際には、被保険者である債務者に対しわかりやすく説明することや、保険金支払い時の遺族への確認の方法などを厳格に行うよう指導しました。現在、大手の消費者金融企業では取り扱わない企業が増えています。
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